2024.01.26
AI導入の2つの形式とメリットを解説
「AI導入を検討しているが、既存ツールの利用と自社専用AIの開発、どちらが良いのかわからない」
「自社に合わせてAI開発を行う方法を知りたい」
以前公開した「AI導入の9ステップを解説!初めてでも失敗しないポイントとは」の記事では、AI導入の基本的な流れを紹介しました。しかし「7.自社に適したAIを検討する」の段階で、既存ツールを利用するか、自社専用のAIを開発するかで迷っていませんか。
この記事では、2つのAI導入方法について、メリットやデメリットをより詳しく解説します。また費用を抑えたいときに役立つ補助金についても紹介していますので、併せて確認していきましょう。
AI導入の方法は大きくわけて2つ
AI導入の具体的な方法は、大きく2つにわけられます。それぞれの特徴を紹介します。
AIが組み込まれた既存ツールを利用する
メリット | 他のITツール導入と同じような感覚で進められる 導入費用を比較的安く抑えられる |
デメリット | 自社に合わせたカスタマイズは期待できない |
導入コストの目安 | どんな機能のAIかによって大きく異なる 例えば文章生成AIのChatGPTであれば、無料で導入することも可能 需要予測システムなどビジネス向けのAIは、個別に見積もりが必要なケースが多い |
運用コストの目安 | 個別に見積もりを取るケースが多いが、比較的安く抑えられる |
導入までにかかる期間 | ChatGPTなどシステムの種類によっては即日利用可能 |
AI搭載の既存ツールを利用するメリットは、比較的費用が安く、導入のハードルが低いことです。
提供されているツールの種類が多い点も見逃せません。文章生成AI、需要予測AI、AIチャットボットなど、さまざまなものがあります。
自社が求める機能を持ったツールがある場合には、こちらの導入方法がおすすめです。ただし自社に合わせたカスタマイズについては、あまり期待できないことに注意しましょう。
自社専用のAIシステムを開発する
メリット | 自社がほしい機能を搭載できる |
デメリット | 導入コストや運用コストが高額になりやすい |
導入コストの目安 | 機能によっても大きく異なる 需要予測システムの場合300万から600万円程度。チャットボットであればもっと低予算で作れる場合もある |
運用コストの目安 | 数十万円から数百万円程度 システムの内容によって大きく異なる |
導入までにかかる期間 | 早くても数ヶ月から半年程度。数年かかることもある |
既存ツールにない機能をつけたい場合は、AIシステムの開発がおすすめです。ただしAI開発を行うためには、専門業者との連携が欠かせません。導入までには多くの時間と費用がかかる点にも注意が必要です。導入費用が高額になりやすいため、補助金の利用も検討すると良いでしょう。
AIが組み込まれた既存ツールを導入する流れ
既存ツールを利用する場合、比較的スピーディーな導入が可能です。しかしサービス提供者との打ち合わせが必要なケースもあることを知っておきましょう。
1.サービスの比較・検討を行う
AI搭載の既存ツールはたくさんあります。まずは自社の目的に合ったツールを比較、検討しましょう。ツールによっては、サービス提供者から見積もりを取る必要もあります。
2.サービス提供者と打ち合わせをする
ツールについて詳しい説明を聞き、自社の課題を解決可能か話し合います。
3.試用する
トライアル期間がある場合には、本格導入前に試してみることをおすすめします。
4.本格導入を行う
試用して問題がなければ、本契約を行い、ツールを導入します。
自社専用のAIシステムを開発する流れ
自社に合わせたAIを開発したい場合の流れを紹介します。
1.どんな機能のAIを作るか決める
自社の課題を明確にし、どんな機能が必要か決めます。AIを導入することが目的とならないよう、「何のためにAIを作るのか」をはっきりさせることが大切です。また費用を抑えたい場合には、搭載する機能を絞り込むことも検討しましょう。
2.仮モデルを作って検証する
仮のAIモデルを作ってテストを行います。この段階で、自社の希望通りの機能を実現できているかチェックしましょう。需要予測システムを作る場合、予測精度も忘れずに確認してください。
3.本開発を行い実装する
仮モデルのテストを行い、問題がなければ本番のAIを作っていきます。完成までには、早くても数ヶ月かかると考えた方が良いでしょう。できあがったら、現場へ導入します。
4.実際に運用する
開発したAIシステムを現場で使い始めます。導入して終わりではなく、AIを作った目的を達成できたかの検証も行ってください。最初から理想的な結果を出すことは難しいため、PDCAサイクルを回すイメージで、評価と改善を繰り返していきましょう。
AI導入に使える補助金について
AIの導入費用を抑えたい場合には、補助金の利用がおすすめです。対応する補助金は複数あるため、自社の規模や導入目的に応じて選びましょう。またそれぞれの補助金には、申請可能な期間が決められています。早めにスケジュールを確認し、申請の準備をしましょう。
なお、具体的にどれくらいの規模の会社が中小企業、小規模事業者にあたるかは業種によって異なります。こちらも申請前に確認を行ってください。
IT導入補助金
補助額 | 450万円まで(申請枠によって異なる) |
補助率 | 2分の1 |
中小企業や小規模事業者によるITツールの導入を支援する補助金です。労働生産性の向上をおもな目的としています。補助金を申請する際には、「IT導入支援事業者」として登録されているIT関連業者との協力が必要です。
2023年のIT導入補助金については、「IT導入補助金の申請の流れ9ステップ|対象ツール、申請類型を解説」でも紹介しています。時期によって申請方法などに違いが生じる可能性もありますが、おおまかな流れの確認にご利用ください。
ものづくり補助金
補助額 | 100万から(上限は従業員数によって異なる) |
補助率 | 補助金額が1500万円までの場合、中小企業は2分の1、小規模事業者は3分の2 補助金額が1500万円を超える部分については会社の規模にかかわらず3分の1 |
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が設備投資を行う際にかかる費用の補助を目的としています。特に、革新的なサービスの開発や、生産プロセスの改善を目的とした設備投資を重視しています。補助金の申請には、3年〜5年の事業計画の策定が必要な点に注意しましょう。
持続化補助金
補助額 | 50万円まで |
補助率 | 3分の2 |
小規模事業者が経営計画を策定し、販路開拓、業務効率化を行うことを支援する補助金です。事業者が自ら経営を見つめ直し、策定した計画でなければ補助金を受け取ることはできません。対象は小規模事業者に限られ、商工会の支援を受けながら取り組む点も特徴です。
自社にあったAIツールの導入を検討しましょう
AIの導入方法は、既存ツールの利用と自社専用のAI開発の2つにわけられます。
既存ツールを利用すれば、費用は比較的安く抑えられます。その代わり、自社に合わせたカスタマイズはあまり期待できないでしょう。自社専用のAIシステムを開発すれば、既存ツールにはない機能を追加できます。しかし多くの時間と費用がかかる点に注意しなければなりません。両者のメリット、デメリットを比較して、自社の状況に適した方法を選びましょう。
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