2023.11.05
【初心者向け】API連携の仕組みをわかりやすく解説!メリットや実装までの流れ
「API連携の仕組みは一体どうなっているのでしょうか?」
「データ連携との違いは何ですか?」
上記のような疑問をお持ちの方も多いかと思います。
API連携は、異なるソフトウェア間で情報を共有する機能です。現代において、多くのSaaS製品が開発されており、企業はより便利で効率的な運用を求めています。そのために、システム間のデータ連携をスムーズに行うための手段としてAPI連携が活用されています。
本記事では、API連携の仕組みだけでなく、メリットや実装手順についても詳しく説明します。また、従来のデータ連携との違いも明確に示し、どのように利用できるかを参考にしてください。
API連携の仕組み
API(Application Programming Interface)は、異なるソフトウェア間で情報を共有する機能を指します。必要なときにユーザーが利用し、API提供元から応答されます。
例えば、ECサイトでクレジットカードを利用する場合のプロセスは次の通りです。
- ユーザーがクレジットカードの情報を入力
- クレジットカード会社のAPIに、カード番号や氏名などの情報をリクエスト
- 決済の可否に対する応答を受け取る
したがって、ECサイトは情報漏洩を防ぐためにセキュリティを強化し、クレジットカード情報を管理する必要がありません。API連携により、異なるシステム同士でも情報を共有し、機能を連携させることができます。
API連携する4つのメリット
API連携するメリットは、主に下記の4つあります。
- 低コストでプログラミング開発できる
- 公開ソフトウェアのデータを活用できる
- ユーザーの利便性を向上できる
- 労力をかけずにセキュリティを向上させられる
1つずつ詳しく解説します。
低コストでプログラミング開発できる
API連携を利用すると、プログラミング開発にかかるコストを削減できます。APIを利用することで、自社でソフトウェアを完全に新たに開発する必要がなくなるためです。
通常の開発では、要件定義、設計、開発、テストの工程を踏みリリースします。しかしAPIを利用すれば、要件定義後の工程を省略し、時間とコストを大幅に削減できるのです。
公開ソフトウェアのデータを活用できる
公開ソフトウェアとは「利用する際の仕様を一般公開しており、ほかのソフトウェアから利用できるもの」を指します。APIを介して公開されているデータを利用できるため、他のソフトウェアのデータを効果的に活用できます。APIの公開は主に金融、EC、SNS業界で積極的に行われています。
EC業界とSNS業界のAPIでは、それぞれ下記のような情報を得られます。
- EC業界:顧客情報や購入商品のデータ
- SNS:ユーザーのフィードバック
上記のようなマーケティング情報を収集し、サービス戦略や業務改善に活用できます。
ユーザーの利便性を向上できる
API連携するとユーザー情報の入力を省略できるなど、ユーザーの利便性を向上も狙えます。
たとえば、自社のサービスを利用する際、ユーザーは別の会員登録が必要なくなり、他社の会員情報を使用してログインできるようになります。これにより、面倒な会員登録手続きを省略でき、ユーザーの満足度が向上します。
また、ECサイトでは他社商品の購入時にポイントを獲得できるなどの付加価値を提供することができ、新たな顧客を獲得する機会も増えます。
最小限の労力でセキュリティを向上させられる
API連携をすると、大きな労力をかけずにセキュリティレベルを強化できます。API提供元が提供する信頼性の高い認証システム(モバイルデバイスを利用した二段階認証など)を利用できるため、セキュリティ強化に大きな労力や費用をかける必要がありません。労力はもちろん、コストもあまりかけずに高いセキュリティレベルを担保できます。
API連携する3つのデメリット
API連携するデメリットは、主に下記の3つです。
- プログラミングの知識を持っている人がいないと難しい
- 仕様変更でトラブルが起きる可能性がある
- サーバートラブルが起きるリスクがある
1つずつ詳しく解説します。
プログラミングの知識を持っている人がいないと難しい
APIの利用にはアプリケーションの開発が必要なため、プログラミング言語の知識がある程度必要です。必要なプログラミング言語の知識は、下記の5つです。
- C言語
- Visual Basic
- Ruby
- Java
- Python
API提供元から提示されている仕様も、アプリケーション開発の知識があることを前提にしている場合が多い傾向があります。そのためプログラミング知識がなく専門職がいないと、APIを使用したアプリケーションの開発は難しいことがあります。
仕様変更でトラブルが起きる可能性がある
API提供元の仕様に機能を依存すると、仕様変更の際にトラブルが生じる可能性があります。そのため急なトラブルを回避するためにも、機能面だけでなく下記の項目も確認しておきましょう。
- API提供元の信頼性
- メンテナンスのタイミングと事前通知の有無
- API提供を終了する可能性
- 仕様変更時のルール
- テスト用のAPIの有無
APIの仕様が変更されると多大な修正コストがかかるため、トラブルに対応できる環境を整えておくと安心です。
サーバートラブルが起きるリスクがある
API連携は提供元のサーバーを通じて行われるため、提供元のサーバートラブルが発生した場合、利用側では対処できません。
「ワンタイムパスワードを認証するためのAPI」を連携している金融機関を例にすると、下記のような事態が想定できます。
- ワンタイムパスワードが作動しない
- 結果、顧客はインターネットバンキングを利用できくなる
API連携のサーバートラブルにより発生するリスクは、完全には排除できません。このリスクを踏まえて、サーバートラブルに対処できる環境を整えておく必要があります。
API連携とデータ連携の違い
API連携とデータ連携は異なるアプローチを取ります。
API連携すると自動でデータを連携できます。既存のシステムと外部システムを簡単に連携できるため、業務を効率化できるのが大きなメリットです。
ただプログラミングの知見がある人がいないと実装するのは難しいため、自社にいない場合にはデメリットになり得ます。API連携を導入する際にはAPI提供元のトラブルによるリスクや、自社にプログラミングの知見があるかを考慮する必要があるのです。
シンプルなデータ連携は、CSVファイルと呼ばれる「,(カンマ)」で区切ったシンプルなテキストデータを読み込ませることです。そのためAPI連携とは違い、CSVファイルにはプログラミングの知見は必要ありません。
CSVファイル(記入例) |
名前,住所,生年月日,電話番号 |
山田 花子,東京都〇〇……,yyyy/mm/dd |
CSVファイルはシンプル軽量なうえ互換性が高いのが大きな特徴です。CSVファイルをアップロードすれば、さまざまなソフトウェアで閲覧・編集ができます。
データの情報は正確ですが、ファイルのダウンロードとアップロードが手動で行わなければならないというデメリットもあります。
API連携の主な事例4パターン
API連携の主な事例を、下記の4パターン紹介します。
- SNS
- ECサイト
- SaaS
1パターンずつ詳しく紹介します。
Googleの公開されているAPIは、主に下記のようなものがあります。
- Google Analytics(アナリティクス)
- Google Cloud(クラウド)
- Google Calendar(カレンダー)
上記のようなGoogleのAPIを利用すると、アクセス数の計測、サイトの効果測定、ビッグデータの情報管理などの業務を効率よくできます。
GoogleのAPIは個人でも利用でき、社外からのアクセスも可能です。
SNS
SNSの活用が盛んな現代では「SNSのAPI連携で利便性の向上を狙う」企業が増えています。一例として、カシオ計算機株式会社の事例を紹介します。
TwitterのAPIの「Sprout Social」を活用し、ユーザーからの要望・質問を、インハウスの担当者に転送できます。さらにカスタマーフィードバック機能を用いて、製品やサービスの満足度のアンケート調査もDMで行うことが可能です。
ECサイト
自社の商品情報をAPI連携すると、複数のECサイトに掲載できます。下記のような共通情報を一括で掲載できるため、大元の情報を変更すればすべての掲載先に変更が反映されます。
- 価格
- 在庫
- 商品画像
- 売り切れ情報
さらに最新情報も自動的に更新できるため、更新作業の手間も削減できます。
SaaS
SaaSとは「Software as a Service」の略称で、サービス提供元で稼働しているソフトウェアを、インターネット経由でユーザーが利用できるサービスです。SaaSはインターネットがあれば場所やデバイスを問わず利用できます。
例えばクラウド会計ソフト「freee」では、独自APIの「freee API」を通して、100以上のアプリケーションと連携ができます。
異なるシステムのデータをリアルタイムで同期できるため、転記ミスの予防や工数を減らせるのです。
API連携を実装するまでの3ステップ
API連携は下記の3ステップで実装できます。
- API連携先を選びユーザー登録する
- APIキー・シークレットキーを取得する
- 正常に作動するか確認する
API連携を実装する前に、実装する目的と機能を明確にしておきましょう。1ステップずつ詳しく解説します。
API連携先を選びユーザー登録する
API連携を行うためには、連携先を選定し、ユーザー登録を行う必要があります。ユーザー登録には、ソフトウェアの名称、概要、利用目的、住所などの情報が必要です。
ユーザー登録には審査が必要で、通過までに1〜2日かかる場合もあるため、時間に余裕を持って登録を行うことをお勧めします。
APIキー・シークレットキーを取得する
次に、APIを利用するために必要な「APIキー」と「シークレットキー」を取得します。
APIキーとシークレットキーは、ウェブコンテンツへのログインに使用されます。これらのキーはユーザーの識別と認証に必要なものであるため、他人に漏洩させないように慎重に扱いましょう。
APIキーとシークレットキーの入手方法は、連携先の企業によって異なるため注意が必要です。
正常に作動するか確認し実装する
最後に仕様書を参照しながら、実際にAPI連携します。連携作業が終わったら、APIが正常に作動するかテストします。
正常に作動したら、API連携は完了です。
まとめ
API連携は、必要に応じてユーザーがリクエストを行い、API提供元からレスポンスを受け取る仕組みです。API連携を導入することで、異なるシステム同士で情報を共有し、機能を連携させることが容易になります。
API連携の主なメリットは、下記の4つです。
- 低コストでプログラミング開発できる
- 公開ソフトウェアのデータを活用できる
- ユーザーの利便性を向上できる
- 労力をかけずにセキュリティを向上させられる
API連携を通じて、自社の効率性向上だけでなく、ユーザーの利便性向上や新規顧客の獲得も可能となります。
API連携を実装する際には、以下の3つのステップが必要です。
- API連携先を選びユーザー登録する
- APIキー・シークレットキーを取得する
- 正常に作動するか確認する
ユーザー登録には審査が必要で、1〜2日かかる場合があるため、時間に余裕を持って取り組むことをお勧めします。
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