2024.05.05
多要素認証とは?二要素認証との違いや5つの注意点をわかりやすく解説
近年、インターネットの普及により、社会全体でデジタル化が進んでいます。多くの企業がITを活用し、従来のアナログ作業をデジタルに切り替えました。日常業務をデジタル化すると業務効率化やコスト削減に繋がります。
一方で悪意のある第三者やコンピュータウイルスなど、サイバー攻撃の被害に遭う恐れもあり、様々なセキュリティリスクの懸念され、企業に対する攻撃も増加しています。これに対処するため、強力なセキュリティ対策として多要素認証が必要とされています。
この記事では、多要素認証の基礎知識や必要性を改めて解説し、注意点を5つ紹介します。
多要素認証はセキュリティを強化するための仕組み
多要素認証とは、Webサービスにログインするときに、2つ以上の異なる方法を使って本人確認を行う仕組みです。
知識情報 | ID、パスワード、秘密の質問など |
初次情報 | ICカードやスマートフォンなど |
生体情報 | 指紋、顔、静脈など |
これら3つの要素の中から、少なくとも2つを組み合わせて使います。多要素認証を使うことで、アカウントのセキュリティが強くなり、サイバー攻撃から守られやすくなります。
二要素認証との違いは、情報の数
多要素認証は、異なる種類の認証方法を組み合わせてセキュリティを強化する仕組みです。二要素認証も似ていますが、こちらは2種類の認証方法のみを使います。そのため、多要素認証に比べてセキュリティはやや低くなります。
例えば、銀行のATMでは通帳やキャッシュカード(所持情報)と暗証番号(知識情報)の両方を使います。これは、2つの異なる認証方法を使用しているため、二要素認証です。
二段階認証との違いは、情報の種類
例えば、Googleアカウントのログイン時にも二段階認証が使われます。Googleアカウントにログインする手順として、1つ目の認証方法でパスワードを入力します。次に、2つ目の認証方法で登録済みのスマホに送信される、確認コードの入力を求められます。
二段階認証では、2つの認証プロセスが必要ですが、必ずしも異なる種類の要素を使う必要はありません。同じ種類の認証要素を2回使うこともあります。そのため、セキュリティは多要素認証ほど高くはありません。
多要素認証の必要性
企業が業務をクラウド化する際、サイバー攻撃の増加に対抗するために強力なセキュリティ対策が必要です。
そのため、下記の観点から多要素認証の導入の必要性が高まっています。
多くのクラウドサービスの導入
クラウドサービスがますます普及し、強力なセキュリティを確保できる多要素認証の必要性を高めました。企業では社内の重要データをクラウドサービスを利用して、社外に保管しています。クラウドサービスの利用が増える中、多要素認証によるセキュリティ強化が重要視されています。
サイバー攻撃からの機密情報や個人情報の保護
サイバー攻撃から企業の機密情報、顧客や従業員の個人情報を守るためには、強力なセキュリティの確保が欠かせません。総務省が公表している「令和5年版情報通信白書」によると、サイバー攻撃は2015年から増加傾向です。
例えば、2022年には不正アクセスの違反件数が522件あり、前年より93件増えています。機密情報や個人情報を守り、クラウド環境のセキュリティを強化するために、多要素認証の導入が重要となっています。
従来のID・パスワード認証の安全性の低下
昔から多くのクラウドサービスで、本人認証の方法に用いられてきたのがID・パスワード認証です。クラウドサービスの利用者のなかには、同じパスワードを使い回したり推測されやすい文字列を設定したりしている人も少なくありません。
従来のID・パスワードのみの認証方法ですと、現在はセキュリティ面の安全性の低下は否めません。サイバー攻撃の被害に遭いやすくなるため危険です。そのため、より強力なセキュリティを確保できる多要素認証の必要性が高まっているのです。
多要素認証利用時の5つの注意点をわかりやすく解説
ここまでで、多要素認証の基本やその重要性、二段階認証や二要素認証との違いについてお伝えしてきました。多要素認証を導入して利便性やセキュリティの向上を図るためには、5つの注意点があります。
- 初期費用や運用コストが発生する
- ログインの手間が増え生産性の低下を招く恐れがある
- 認証用文字や数字は適切に保管・使い回さない
- デバイスを紛失させないようにする
- 多要素認証ツールの活用でセキュリティ強化をする
1.初期費用や運用コストが発生する
多要素認証の導入にはソフトウェアのライセンス購入、システムの設定などで初期費用が発生します。また、システムの保守管理にも運用コストがかかります。導入するシステムやサービスにより初期費用や、運用コストは変わってくるので企業ごとに違いがあるでしょう。
多要素認証を導入する企業は、いくら位のコストがかかるのか事前に把握し予算計画を立てて、費用対効果を考慮しながら活用していくことが重要です。
2.ログインの手間が増え生産性の低下を招く恐れがある
多要素認証はログイン時に追加の認証ステップを要求するため、手間が増える可能性があります。従業員が業務で通信機器を使用する際に、ログインの手間が増えるとストレスを感じたり生産性の低下を招いたりする恐れがあります。
自社の機密情報や顧客の個人情報を守るために、強固なセキュリティの確保は重要ですが利便性を損なうのは良くありません。多要素認証を活用する時は、使いやすさとセキュリティのバランスを考えることが大切です。
3.認証用文字や数字は適切に保管・使い回さない
認証用の文字や数字は、適切に保管し使い回さないように注意が必要です。悪意のある第三者に漏れるとサーバーや、通信機器に不正アクセスされてサイバー攻撃の被害に遭う恐れがあります。
多要素認証に使われるセキュリティトークンや二要素認証のワンタイムパスワードなどはセキュリティを強化しますが、過信は禁物です。不正アクセスやサイバー攻撃を防ぐために、IDやパスワードを定期的に変更し、適切に管理することも重要です。
4.デバイスを紛失させないようにする
多要素認証に使用するデバイスは紛失したり、盗まれたりしないように気を付けなければいけません。業務に支障が出るだけではなく個人情報や、重要データの情報漏えいに繋がる恐れがあるからです。デバイスの管理には十分な注意が必要です。
例えば、従業員が使用する会社のパソコンやスマホの保管場所を決めたり、紛失防止タグを付けたりすると良いでしょう。デバイスの紛失防止策を考え従業員に周知して、安全な場所に保管するようにしましょう。
5.多要素認証ツールの活用でセキュリティ強化をする
多要素認証ツールを使うことは、セキュリティを強化する効果的な方法です。例えば、従業員がシステムにログインするときに、簡単なワンタイムパスワードを使う多要素認証を採用することができます。
様々な種類のMFAツールがあり、それぞれの認証方法も異なります。だからこそ、自社の目的や必要に応じて適切なものを選び、利便性を損なわないようにすることが大切です。
まとめ
インターネットの普及により、デジタル化やDX化を進める企業が増えてきました。自社サーバーや社内システムをオンプレミス環境からクラウド環境へと移行したり、クラウドサービスを導入したりする企業は少なくありません。
社内システムのクラウド化やクラウドサービスを利用する際は、多要素認証ツールを使ってセキュリティを強化することが重要です。 自社の目的やニーズに合った多要素認証ツールを選択して、適切に活用することで強固なセキュリティを確保できます。
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