2024.12.28
情報セキュリティ教育の必要性|社内教育で取り組む内容を解説
企業の機密情報や個人情報を狙ったサイバー犯罪は、年々増え続けています。大切な情報資産を守るためには、従業員のセキュリティ意識向上を促す必要があります。情報セキュリティ教育を通して、従業員一人ひとりが、セキュリティ対策を迅速に実践できるようになることが望ましいです。
この記事では、情報セキュリティ教育の必要性や、社内で取り組むべき教育内容を解説していきます。
情報セキュリティを社員に教育する必要性
情報セキュリティ教育を通して、従業員のセキュリティ意識の向上を目指します。企業や組織が直面するサイバー攻撃や、情報漏えいなどのリスクを軽減し、従業員が安全な行動を取れるようにするための取り組みです。実際の業務に直結した、実践的なスキルを養うために、情報セキュリティ教育が必要になってきます。
(株)東京商工リサーチが2023年に「上場企業の個人情報漏えい・紛失事故」の調査結果を公開しています。上場企業とその子会社が公表した、個人情報の漏えい・紛失事故の件数は175件です。前年比6.0%増となっており年々増加傾向です。上記のことから、情報資産を保護するために、情報セキュリティ教育の必要性が理解できます。
情報セキュリティ教育の基本はポリシーの策定から
企業ごとに策定する情報セキュリティのポリシーの内容は異なります。自社に最適なセキュリティポリシーを策定する必要がありますが、一般的には下記の項目を含むことが望ましいでしょう。
情報セキュリティ基本方針 | 組織全体の情報セキュリティに取り組む方針を定めた基本的な文書。 |
情報セキュリティ方針 | 基本方針を具体化した行動指針や規範。従業員が日々何を守るべきかを明確に示した文書。 |
情報セキュリティ対策手順書 | 対策規定に基づいて、実行するための具体的な操作手順や、対応方法を詳細に記載した手順書。 |
情報セキュリティ対策規定 | セキュリティ対策を実行するためのルールや、基準を文書化したもの。 |
記録帳や台帳類 | 実施したセキュリティ対策や、情報資産を記録・管理するための文書。 |
セキュリティ対策は複数あるため、全ての施策を実践するのは現実的に難しいです。セキュリティ方針を定めて、文書化し従業員に遵守させることで、組織全体が一丸となって取り組みやすくなります。
情報セキュリティ教育の内容
セキュリティポリシーの策定だけではなく、従業員に実施する教育の内容も重要です。次の項目では、情報セキュリティ教育の主な内容についてお伝えしていきます。
セキュリティ基礎知識の学習
セキュリティ教育の基盤となるのは、情報セキュリティに関する基本的な知識の習得です。自社の情報資産を守るために必要な機密性、完全性、可用性という、情報セキュリティの三大原則の理解が重要です。機密情報や個人情報などの重要なデータを守るうえで、不可欠な概念ですので、全従業員が意味と重要性を認識する必要があります。
単なる理論だけではなく、具体的な事例を活用して従業員に、なぜセキュリティ基礎知識が重要なのかを実感させることが大切です。例えば、過去に発生した情報漏えいやサイバー攻撃の被害事例を紹介して、企業や個人にどのような影響を与えたかを具体的に説明するなどです。従業員が日常業務で直面する可能性のある、セキュリティ脅威を深く理解できるようにします。
最新トレンドや新技術への対応
サイバー攻撃は日々進化しており、手口も巧妙かつ複雑化しています。従業員にはセキュリティ脅威の最新トレンドや、新技術に関する知識を常にアップデートさせることが求められます。情報のインプットだけではなく、対応するためのセキュリティ対策や防御策を社内で議論し、どのように行動すべきかを主体的に考えさせることが重要です。
例えば、クラウドセキュリティやゼロトラストセキュリティモデル、AIを活用したセキュリティ対策など、最新の技術動向を把握して、対応するための知識と考える力を養う必要があります。新しいセキュリティ脅威への対策として、自社内でどのような体制やルールが必要になるのか、についても従業員と共有し企業全体で継続的な取り組みが大切です。
自社の機密情報や個人情報の扱い方
企業が保有する機密情報や個人情報は、外部に流出させないようにしなければいけません。従業員には自社内で策定した情報セキュリティポリシーを深く理解させ、遵守を徹底させる必要があります。例えば、重要なデータは暗号化して保存したり、不必要になったデータを適切に削除したりするなど、安全な取り扱い方法について具体的に指導します。
意図的あるいは人為的ミスによる、情報漏えいを防ぐためのルールを守ることや予防策を教育し、従業員が日常業務で注意すべき行動や判断基準についても明確に示すことが大切です。また、情報漏洩が発生した場合の対応策や報告手順についても教育し、従業員一人ひとりが責任感を持って行動できるよう促します。
ITツールとパスワードの安全な利用方法・管理
ITツールやパスワード管理に関する教育も欠かせません。安全なパスワードの作成方法や、定期的なパスワード変更の重要性を従業員に指導します。例えば、推測されにくい複雑な文字列のパスワード設定、一つのパスワードを複数サービスで使い回さない、定期的なパスワード変更などがあります。
多要素認証の導入によって、デバイスやITツールのセキュリティレベルを向上させる方法についても説明し、安全性への意識を高めることも大切です。情報セキュリティの実践的な知識とスキルを従業員に学ばせるのは、不正アクセスやデータ流出といった重大インシデントから企業全体を守ることに繋がります。
SNSの利用
SNSはビジネスでも個人利用でも広く普及しています。誰でも簡単にSNSを利用できますが、不適切な利用は情報漏えいのリスクを高めたり、企業イメージや信用の低下を招いたりする可能性があります。従業員にはSNS上での情報共有の際に注意すべき点や、個人情報の公開範囲の設定、不審なメッセージやリンクに対する警戒心を持つことの重要性を学ばせると良いでしょう。
例えば、不適切な投稿によって起きた企業の情報漏えいの過去事例や、企業アカウントの乗っ取り被害など具体的な事例を紹介しながら、危険性への理解を深めさせることが大切です。従業員個人アカウントと、企業アカウントとの区別についても明確にし、それぞれ適切に管理できるよう教育することも重要です。
まとめ
情報セキュリティ教育は、一度限りではなく継続的な実施が効果的です。サイバー攻撃の種類や手法は、年々、進化し続けており手口も多様化しています。多角的な視点から様々なセキュリティテーマに基づいた、情報セキュリティ教育の実施が情報資産を保護し、重大なインシデントを防ぐためにも大切です。
従業員一人ひとりがセキュリティの重要性を理解し、個々でセキュリティ対策を実践できるようになると、企業全体のセキュリティレベルの向上が期待できます。
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