ビジネスの世界では、災害や緊急事態などが発生した際に、事業を継続するための計画が不可欠です。そのためには、企業はBCP(事業継続計画)を策定して、災害や予期せぬ事態などから従業員や社内の重要なデータを守っていくことが求められます。さらに、企業におけるBCP対策も重要です。BCP対策としてクラウドの活用は、企業が直面する様々なリスクから企業を守り、継続性を確保するために効果的です。

この記事では、BCP対策の基礎基本やクラウドの活用が最適な理由や注意点などについてお伝えしていきます。

BCP対策とは？

企業の機密情報や個人情報などの、重要なデータを守るためにBCP対策は欠かせません。BCP対策とは、万が一の災害や予期せぬ事態による、企業のデータ損失のリスクを最小限に押さえて、事業の継続性を確保できるようにBCP(事業継続計画)を策定し、取り組むことです。BCPの策定や定期的なバックアップの実施で、企業はどんな状況にも対応できる準備を整えられます。

BCP対策にクラウドの活用が最適な5つの理由

ここまでで、BCP対策の基礎基本をお伝えしてきました。企業がBCP対策にクラウドサービスの利用が、なぜ最適なのか疑問に思うのではないでしょうか。

次の項目では、BCP対策にクラウドの活用が最適な、5つの理由をお伝えしていきます。

1.アクセスの容易さ

クラウドサービスを利用すると、インターネット接続があればどこからでもデータにアクセスできます。例えば、リモートワークが普及している現在では、社員が自宅や外出先などからでも日常業務を行えます。災害発生時でも、最寄りの避難所からでも業務を継続できるため、ビジネスの中断を最小限に抑えられるでしょう。

2.自動バックアップ

多くのクラウドサービスには、データの自動バックアップ機能が備わっています。定期的にデータをバックアップできるため、最新のデータを常に保管できます。例えば、災害発生時やサイバー攻撃の被害を受けた時でも、クラウドサービスが自動的にバックアップを取っているため、迅速なデータの復元が可能です。また、バックアップの頻度や精度が向上したり、ヒューマンエラーの防止に繋がったりします。

3.データの安全性の向上

データをクラウド化していると、自然災害やサイバー攻撃などから、企業のデータを安全に守れます。クラウドサービスのプロバイダーは、高度なセキュリティ対策を講じており、データの暗号化やアクセス制御などが徹底されているからです。クラウドサービスでは、データの安全性を向上させる多くの機能を提供しています。

4.コスト削減

クラウドサービスを利用することで、企業は初期投資や、メンテナンスコストの大幅な削減が可能です。例えば、USBメモリ、外付けHDDなどの物理的なストレージにデータを保存する場合、購入費用、メンテナンス代、電気代などが発生します。必要に応じてリソースを増減できるため、無駄なコストを抑えられます。

5.事業の継続性

クラウドの活用がBCP対策に最適な理由として、災害時や万が一の事態に、事業の継続性が確保されることも挙げられます。インターネット接続があれば、従業員はどこからでも作業の再開が可能なため、ビジネスの中断期間を短縮できます。

例えば、災害でオフィスでの仕事が不可能になった場合でも、クラウドサービスを利用していれば、他の場所から迅速に業務の再開が可能です。事業の継続性が確保されることにより、企業は災害や緊急事態にも柔軟に対応できます。

BCP対策にクラウドを活用する5つの注意点

企業のBCP対策にクラウドの活用は最適です。クラウドサービスを最大限に活用するためには、導入する際にいくつかの注意点があります。次の項目では、BCP対策にクラウドを活用する、5つの注意点をお伝えしていきます。

1.セキュリティの確保

セキュリティの確保はBCP対策において不可欠です。クラウドサービスを利用する際には、セキュリティが最優先事項です。例えば、重要なデータの暗号化やアクセス制御を徹底し、不正アクセスや情報漏えいを防ぐ対策を講じる必要があります。クラウドサービスのプロバイダーのセキュリティ対策を確認して、信頼性の高いサービスを選ぶことが重要です。

2.ネットワーク依存

クラウドサービスの利用には、インターネット接続が必要です。そのため、ネットワークの安定性や速度が、日常業務に大きな影響を与えます。例えば、ネットワークの障害が発生すると、クラウドへのアクセスが不可能になる恐れがあるでしょう。社員がオフィスに出勤できない状況でも、自宅や他の場所から安全に仕事を継続できるのが利点ですが、ネット環境の不具合が発生した場合に、業務が停止するリスクがあります。

3.コスト管理

クラウドサービスを利用することで、企業は初期投資やメンテナンスコストを大幅に削減できます。しかし、使用するリソースの増加に伴い、費用が予想外に増大する可能性もあります。コスト管理と予算計画は、クラウドをBCP対策に活用する際の重要な要素です。そのため、企業の予算を圧迫しないように、しっかりと予算計画を立てて、コスト管理の徹底が大切です。

4.バックアップ先を既存クラウドに限定しない

BCB対策にクラウドサービスの利用は、とても有効な手段ですが、バックアップ先を既存クラウドに限定しない方が良いです。既存クラウドだけのプロバイダーに依存していると、万が一、ネットワーク障害が発生したらデータのバックアップや復元ができなくなり、ビジネスを中断せざるを得ない状況になってしまいます。例えば、複数のクラウドサービスのプロバイダーを利用して、データを分けて保管を行いリスク分散が大切です。

5.従業員に対しての継続的な教育の実施

日進月歩するクラウド技術や、ヒューマンエラーに対処するためには、従業員に対しての継続的な教育、研修の実施が大切です。人的ミスを完全に防ぐことは難しいですが、定期的な教育、研修を行うことでリスクを最小限に抑えられます。BCP策定やセキュリティーポリシーの策定を行い、従業員に周知するのもクラウドの利用や、セキュリティの安全性を高めるために重要です。

まとめ

BCP(事業継続計画)は、災害やサイバー攻撃などから、企業を守るための重要な戦略となります。クラウドの活用は、今後もビジネスの安全性と、効率性を高めるための重要な戦略となるでしょう。

1. セキュリティの確保
2. ネットワーク依存
3. コスト管理
4. バックアップ先を既存クラウドに限定しない
5. 従業員に対しての継続的な教育の実施

BCP対策にクラウドの活用を検討する企業は、上記でお伝えした5つの注意点に気をつけながら、災害や緊急事態に強いビジネス環境の構築を行いましょう。