2023.08.26
フリーアドレスに失敗するとどうなる?原因から対策まで解説
「実施前に失敗する原因を知って、できる限りの対策をしておきたい」
そう考えている担当者も多いのではないでしょうか。
フリーアドレス制には、メンバー間の交流が活発になるほか、オフィスのデッドスペースを縮小できるなど、固定席制にはないメリットがあります。しかし、運用がうまくいかず廃止となる可能性もゼロではありません。
この記事では、フリーアドレスに失敗した際の会社への影響と、失敗の原因、成功に導くポイントをご紹介します。ぜひチェックして、自社のフリーアドレスを成功させてください。
1.そもそもフリーアドレスとは?目的とメリットをおさらい
フリーアドレスは、各スタッフ専用の席を設置せず、社内の好きな席に座って仕事をする方式です。
フリーアドレスのメリットは、部門を越えたコミュニケーションの促進、オフィス空間の有効活用、従業員が自ら考えて仕事をするきっかけ作りなどです。企業は、これらの効果を得ることを目的にフリーアドレスを導入しています。
2.フリーアドレスに失敗するとどうなるのか
「本当に失敗するかどうかは、やってみるまで分からない。とりあえずフリーアドレス制にしてみて、失敗したら固定席に戻せばいい」
こういった意見を持つ人もいるかもしれません。しかし、フリーアドレスの失敗が、会社に重大な悪影響を与える可能性もあります。考えられる影響の例を、3つ紹介します。
固定席に戻すことになりコストがかかる
フリーアドレスにするためにオフィスを改装後、もう一度固定席に戻す場合、改装コストが膨大になる恐れがあります。
そもそもフリーアドレスを導入する際には、机やロッカーの購入などで費用がかかります。固定席に戻そうとすれば、さらにフリーアドレス用デスクの撤去費用や固定席用デスクを買い直す費用なども必要です。想像以上に高コストとなる可能性に注意しましょう。
情報漏洩が起きた場合取り返しがつかない
従業員一人ひとりのボーナス支給額のように、社内でも他の従業員に開示できない情報が存在します。
フリーアドレス導入後のセキュリティ管理が不適切だったために、たまたま経理担当者の隣に座った人が、ボーナス支給額の載った書類を見てしまったらどうなるでしょうか。そこから別の問題に発展することも考えられます。
そして、フリーアドレスを廃止したとしても、情報が漏洩した事実はなくなりません。
従業員のストレスが累積する恐れがある
フリーアドレスの運用方法が適切でないと、従業員が大きなストレスを抱える恐れがあります。従業員の立場になって、フリーアドレス制に失敗した職場を想像してみましょう。
Aさんは毎日席選びで疲れています。上司や先輩とどのくらい距離を取って座れば良いか分からないからです。
ようやく自分の席が決まりましたが、近くには違う部署の人たちが固まって座っていました。彼らは大声で雑談しており、仕事に集中できません。 午後になり、同じ部署の人に渡したい書類が届きました。しかし相手が見つからず、オフィス内を十分以上も歩き回ることになってしまいました。 |
毎日このような状況が続けば、従業員は大きな苦痛を感じるでしょう。生産性の低下も懸念されます。しかも、固定席に戻せば解決するとは限りません。フリーアドレスを廃止する際には、固定席を配置し直す作業が発生します。
こうして蓄積したストレスがさらに別の悪影響を及ぼすことも考えられます。
3.フリーアドレスで失敗する原因9個を解説
フリーアドレスの失敗原因を、目的、オフィス環境、運用方法の3つの観点から9個ご紹介します。
導入目的に問題があったケース
最初の導入目的に問題があると、その後の準備や運用にも支障が出ます。
- 目的を明確化しないままフリーアドレスにした
- 導入目的が従業員に伝わっていなかった
導入目的がはっきりしていなければ、オフィス環境や運用ルールも最適なものになりません。管理者が目的を決めていたとしても、従業員に伝わっていなければ運用面で失敗する可能性が高いでしょう。
オフィス環境の整備に問題があったケース
フリーアドレスの導入に当たって、オフィス環境の整備は不可欠です。
3.IT化が不十分だった
フリーアドレス制オフィスを効率よく運用するためには、クラウド化やペーパーレス化が欠かせません。紙の書類を利用する業務が多いと、固定席のときより管理の手間が増えます。
4.オフィスレイアウトが適切でなかった
毎日席替えが行われるフリーアドレスオフィスでは、プリンタや電話の設置場所が適切でないと業務効率が落ちてしまいます。他にも、席数が足りない、動線が悪いなども失敗原因となります。
5.フリーアドレスに必要な設備や備品が足りなかった
固定席を撤去したら、書類の保管場所や私物を安全に管理できるロッカーが必要となります。これらが足りないと、従業員の不満の元となるでしょう。
また、無線LANを安定的に使える状態にしておかないと、肝心の業務が進まないという問題も発生します。
6.フリーアドレスに向かない部署にも導入してしまった
デスクトップパソコンが必要な部署や、専門的な道具を使用する部署はフリーアドレスには向いていません。また、社内の重要情報を扱う経理部、人事部、総務部などのバックオフィス系も実は適していない部署です。
フリーアドレスの運用方法に問題があったケース
フリーアドレス導入後、実際に運用していく段階で問題に直面するケースもあります。
7.業務効率が低下した
8.運用ルールが守られなかった
9.フリーアドレスが従業員の負担になっていた
下記のような問題の積み重ねが、業務効率の低下を招きます。
- 誰がどこに座っているのか把握するだけで時間がかかる
- 業務に必要な書類が見つからない
- 従業員同士の雑談が増え業務の進行が遅れる
フリーアドレス制に移行する際には、机上に物を放置しない、何日も続けて同じ席には座らないなどのルール作成が必要となります。しかし皆が守らなければ意味がありません。
上司の近くに座るよう強制される、私物の持ち運びが面倒など、従業員の負担が大きいと円滑な運用が難しくなります。
4.フリーアドレス成功に欠かせない対策と考え方
具体的な対策と考え方をご紹介します。特に考え方に注目してください。
自社がフリーアドレスに向いているかを確認する
そもそもフリーアドレス自体が向いていない会社もあります。別記事「フリーアドレスオフィスは適切か?」で向いているかをチェックし、もし向いていない要素が多かった場合は計画を立て直すことも検討しましょう。
管理者が導入目的を明確化する
「部門の垣根を越えてもっとコミュニケーションを取って欲しい」など、フリーアドレスの導入には何らかの目的があるはずです。まず管理者がゴールを明確にしましょう。
従業員の意見を取り入れながら準備する
導入目的を決めたら、従業員と共有し準備を進めます。このとき、従業員側の意見を聞くことを忘れないでください。
フリーアドレス化で実際に影響を受けるのは従業員たちです。従業員側が良いと思えるオフィスにならなければ、フリーアドレスは長続きしません。環境やルールは管理者が一方的に押し付けるものではなく、皆で作り上げるものだという認識を共有しましょう。
フリーアドレスに向かない部署はグループアドレスを検討する
経理部、人事部、総務部などフリーアドレスに向かない部署の場合、グループアドレスを導入する方法もあります。
グループアドレスとは、特定の部署やグループ内だけで適用されるフリーアドレスのことです。他の部署に公開できない情報を扱う場合でも、自由席にできます。
フリーアドレスにする前にIT化を進める
クラウド化やペーパーレス化が完了していない場合、まずこちらを済ませてください。単にクラウド化するだけでなく、従業員同士でスムーズにデータ共有できる段階まで進めておくことが重要です。
そもそもクラウド化は何をすればいいのか分からない方は、別記事「クラウド化とは?」も併せてご覧ください。
オフィスレイアウトの設計に力を入れる
プリンタや電話の置き場所、共用備品の保管場所など、オフィスレイアウトで考えるべき点はたくさんあります。
また、席数が不足しないよう、少し余裕を持った数にすることも忘れないでください。
仕事内容に合わせて席を使い分けられるようにする
仕事の能率を落とさないように、従業員がその日の目的や仕事内容に応じた席を選べるよう工夫しましょう。
具体的には、通常の席以外に、Web会議用の席や私語禁止の席を用意するといった対策があります。
フリーアドレスオフィスを効率化するツールを活用
フリーアドレス支援ツールを利用すれば、運用上の問題を減らすことにつながります。
誰がどこに座っているのか一目で分かる座席管理システムや、席選びの時間を節約する座席抽選システムなどが該当します。
フリーアドレスの成功をプロが一括サポートします
これまでご紹介したとおり、フリーアドレスの成功には目的、オフィス環境、運用方法の3つの準備が大切です。
しかし、自社だけで漏れなく準備することが難しい場合もあるでしょう。その際、3つの観点それぞれで別の業者に相談すると、時間も費用も多くかかってしまいます。そこで、トータルサポートが可能な業者を選ぶことをおすすめします。
株式会社トントンでは、クラウド化やデータ共有のルール作り、オフィスレイアウトなどまとめての相談が可能です。フリーアドレスオフィスの成功を目指すなら、ぜひお問い合わせください。
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