2024.07.13
Wi-Fi7とは?特徴やビジネス利用の5つのメリットと注意点
新世代の規格であるWi-Fi7の登場により、旧世代のWi-Fiと比較して通信速度が、大幅に向上しています。インターネットを利用する際は、通信速度や通信の安定性の備わった環境で、行うことが欠かせません。ビジネスの場面でWi-Fi7の活用を、検討する企業もあるのではないでしょうか。
この記事では、Wi-Fi7の基礎知識や特徴とビジネス利用の、5つのメリットと注意点などについて解説していきます。
Wi-Fi7とは?
Wi-Fi7の正式名称は、「IEEE 802.11be Extremely High Throughput (EHT)」という規格です。旧世代のWi-Fiよりも、最大通信速度や通信の安定性の向上、低遅延などを実現しています。総務省が公表しているデータによると、従来のWi-Fi 6/6Eの9.6Gbpsの約4.8倍の最大通信速度(理論値)を、Wi-Fi7は実現しており約46Gbpsとなっています。
従来のWi-Fiと現時点で最新規格のWi-Fi7を比較すると、下記のような特徴の違いがあります。
Wi-Fi 7 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 5 | |
リリース年 | 2024 | 2020 | 2019 | 2013 |
IEEE規格 | 802.11be | 802.11ax2 | 802.11ax | 802.11ac |
最大通信速度(理論値) | 46Gbps | 9.6Gbps | 9.6Gbps | 6.9Gbps |
周波数帯 | 2.4GHz/5GHz/6GHz | 2.4GHz/5GHz/6GHz | 2.4GHz/5GHz | 5GHz |
占有周波数帯幅 | 最大320MHz | 最大160MHz | 最大160MHz | 最大160MHz |
上記のWi-Fiの規格における比較表を見ると、従来のものよりWi-Fi7の最大通信速度が大幅に向上しているのが把握できるのではないでしょうか。
Wi-Fi7をビジネスで利用する場合の5つのメリット
Wi-Fi7をビジネスで利用することで、様々なメリットがあります。具体的には企業が日常業務でWi-Fi7を利用するうえで、どのようなメリットがあるのか疑問に思うのではないでしょうか。
次の項目では、Wi-Fi7をビジネスで利用する場合の、5つのメリットをお伝えしていきます。
- 高速通信の実現
- 多数のデバイスへの同時接続
- 低遅延
- セキュリティの向上
- 新機能の実装による業務効率化
1.高速通信の実現
Wi-Fi7は旧世代のWi-Fiに比べて通信速度が大幅に向上しています。具体的には、最大通信速度が理論値で46Gbpsに達するとされています。さらに大量のデータの送受信、ダウンロードやアップロード、高解像度の映像の共有などが可能です。
例えば、ビジネス利用でクラウドストレージに大きなファイルをアップロードしたり、ビデオ会議で高解像度の映像を共有したりする場合もあるでしょう。ビジネスシーンで、Wi-Fi7を使った高速通信の実現は大きな力を発揮します。
2.多数のデバイスへの同時接続
従業員の数が多い企業ほど、日常業務で使用するデバイスの数も多くなりがちです。オフィス内で多数のデバイスを、同時にWi-Fiに接続する場合もあるでしょう。性能が低いWi-Fiを使用すると、同時接続台数が多くなった時に安定した通信環境を確保できなくなる可能性があります。Wi-Fi7は多数のデバイスへの同時接続を安定的にサポートし、高速かつスムーズな通信が可能です。その結果、従業員の生産性や業務効率化の向上に繋がります。
3.低遅延
Wi-Fi7の大きなメリットとして、低遅延の実現があります。例えば、デバイスを使いネットワークを介してリアルタイムでのやり取りや、ビデオ会議などでは遅延が発生すると業務に支障をきたします。Wi-Fi7の低遅延の実現は、オンラインでのやり取りや緊急時など、遅延が許されないビジネスシーンにおいて大きな利点です。
4.セキュリティの向上
ネットワークにデバイスを接続して利用する場合、常にセキュリティ脅威に晒されています。サイバー攻撃の被害も年々、増えてきているため様々なセキュリティリスクに備えた、セキュリティ対策は重要です。
Wi-Fi7は最新のセキュリティプロトコルを採用しており、旧世代のWi-Fiに比べてセキュリティが大幅に向上しています。サイバー攻撃や情報漏えいのリスクを軽減し、ビジネスで取り扱う個人情報や機密情報を安全に保護します。
5.新機能の実装による業務効率化
Wi-Fi7は新機能の実装により業務効率化が図れます。例えば、「マルチリンクオペレーション」、「プリアンブル・パンクチャリング」などです。マルチリンクオペレーションは、複数の周波数帯を活用して、多数のデバイスへの同時接続を可能にする機能です。オフィス内の多くのデバイスが、同時に安定した高速通信が可能になります。プリアンブル・パンクチャリングは、電波干渉を改善して利用できるチャンネルを増やします。
Wi-Fi7をビジネスで利用する場合の5つの注意点
ここまでで、Wi-Fi7の基礎基本やビジネスで利用するメリットなどをお伝えしてきました。ビジネスでWi-Fiを活用する場合、注意しなければいけないポイントもいくつかあります。
次の項目では、Wi-Fi7をビジネスで利用する場合の、5つの注意点をお伝えしていきます。
- 適切な対応機器の選定
- セキュリティ対策の強化
- ネットワーク管理の複雑さ
- 初期投資のコスト
- 将来性に対する懸念
1.適切な対応機器の選定
Wi-Fi7は最新の通信規格ですが、全てのデバイスに対応しているわけではありません。Wi-Fi7に対応したルーターやアダプターが必要になるため。互換性を確認することが重要です。
例えば、Wi-Fi7に対応したルーターやアクセスポイントを選定する際には、デバイスの仕様を確認し、Wi-Fi7の全ての機能をサポートしていることを確認する必要があります。データ転送速度、セキュリティ機能、耐久性など企業のニーズや目的に合った適切な対応機器の選定が大切です。
2.セキュリティ対策の強化
Wi-Fi7は最新の暗号化技術を使用してデータを保護するなど、セキュリティが強化されています。しかし、それだけではセキュリティ対策として不十分です。例えば、従業員に対するITリテラシー教育やセキュリティ教育、最新のセキュリティアップデートの適用、強固なパスワードの設定など、全体的なセキュリティ対策の強化が必要です。
3.ネットワーク管理の複雑さ
Wi-Fi7は従来のWi-Fiよりも、多くのチャネルと高度な機能を持っています。適切なネットワーク管理のためには、専門的な知識やスキルが必要となる場合があります。ネットワークの設定と管理がより複雑になるため、専門知識を持ったITスタッフが必要になるかもしれません。
4.初期投資のコスト
Wi-Fi7に対応した通信機器を新たに導入する際には、初期投資のコストがかかります。例えば、Wi-Fi7に対応したルーターや、アクセスポイントを導入するなら、コストを事前に見積もる必要があります。初期投資のコストは、中小企業にとっては大きな負担となる可能性があるでしょう。長期的な視点で費用対効果を評価して、将来性を見極めることが大切です。
5.将来性に対する懸念
Wi-Fi7はまだ新しい技術です。普及率や将来性については、今後どうなるかはわかりません。例えば、Wi-Fi7は最新のWi-Fi規格ですが数年以内に、Wi-Fi8が登場する可能性もあるでしょう。そのため、企業はWi-Fi7の導入が将来的にも価値を持つかどうか、また、アップグレードのための追加投資が必要になるかどうかを考慮する必要があります。
まとめ
Wi-Fi7に対応した通信機器は、まだ発売して間もないため各メーカーが販売しているのは、価格帯が高いハイエンドモデルです。価格が高いことがWi-Fi7の課題と言えますが、将来的にはリーズナブルな価格帯の通信機器も、登場する可能性は高いでしょう。
企業が業務でWi-Fi7に対応した通信機器を導入する際は、ニーズや目的に合ったものを選ぶことが大切です。お伝えしてきた5つのメリットや、注意点を参考にしながら適切なものを選んでみてください。
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