2024.04.17
データバックアップの適切な頻度とは?失敗しないポイントも紹介
「データバックアップはどれくらいの頻度でやればいいのだろうか」
「バックアップをこまめに取る時間がない。たまに取る程度でも問題ないのか」
バックアップを取る大切さは分かっていても、適切な頻度がわからず悩んでいませんか。
この記事では、バックアップの適切な頻度や、バックアップデータを無駄にしないためのポイントを紹介します。
そもそもバックアップという言葉の意味
バックアップとは、パソコンやサーバー内に保存してあるデータを、他のメディア(USBメモリなど)にコピーしておくことです。
災害やウィルス感染などにより、パソコンが急に壊れてしまうこともあるでしょう。事前にバックアップを取っておけば、もしパソコンが壊れても、バックアップしたメディアからデータを復旧できます。
なお、データを復旧するためには、ファイルバックアップとシステムバックアップの両方が必要な点にも注意しましょう。
ファイルバックアップ
ファイルバックアップとは、従業員が日々の業務で作成、更新しているファイルをバックアップすることです。エクセルで作成した売上データなどが対象となります。プライベートで、自宅のパソコンに保存したデータをUSBメモリにバックアップするイメージに近い方法です。システムバックアップのように機器を設置する必要がなく、比較的短い時間でできます。
ファイルバックアップによって取得したデータは、ファイルサーバー、オンラインストレージ、外部記録媒体など保存先の選択肢も豊富です。
システムバックアップ
システムバックアップとは、OSやアプリケーション、さまざまな設定情報なども含めてすべてバックアップすることです。イメージバックアップとも呼ばれています。サーバーやパソコンの情報をすべて、バックアップする仕組みです。
OSに関する設定情報は、普段パソコンを使っている際には目にしない部分でしょう。しかし、こうしたデータも含めてバックアップしておかないと、サーバーが壊れた場合などはスムーズな復旧ができません。
システムバックアップは保存するべきデータ量が多いため、ファイルバックアップよりも完了までに時間がかかります。そのため、夜間などの業務時間外に実施することをおすすめします。
企業がデータバックアップを行う適切な頻度はどれくらい?
適切なバックアップ頻度は、ファイルバックアップとシステムバックアップで異なります。順番にチェックしていきましょう。
ファイルバックアップは1日1回以上を目安に
ファイルバックアップの場合、1日1回以上は実施することをおすすめします。
売上データなど、日々の業務に欠かせないファイルは、1日の間に何度も更新していませんか。機器の故障はいつ起きるかわからないため、できればファイルが変更されるたびにバックアップを取ることが理想です。
しかし、バックアップに手間をかけすぎて、業務が遅れるようでは本末転倒です。きわめて重要なデータのみ更新されるたびにバックアップを取り、それ以外のデータは1日1回を目安に行うと良いでしょう。
バックアップツールを導入し、毎日決まった時間にバックアップされるように設定すれば、バックアップの取り忘れを防げます。
システムバックアップは数ヶ月に1回を目安に
システムバックアップの場合、数ヶ月に1回程度が目安です。
システムバックアップは時間がかかるため、頻繁にバックアップを取る必要はないと言えます。ただし、OSのアップデートがあるときや、新しいソフトウェアを入れたときには、数ヶ月という目安に関係なくバックアップを取ってください。
バックアップは予期しないトラブルや、データ消失から守るための重要なものです。定期的にバックアップを取ることで、万が一の時でも安心して業務を続けられます。あくまでも一般的な目安です。自社のビジネス環境やデータの使用状況などに合わせて、定期的なシステムバックアップを行い大切な情報を守っていきましょう。
データバックアップで失敗しないためのポイント
適切な頻度でバックアップを取っていても、いざというとき、復旧に使えなければ意味がありません。復旧が必要となったときのことを考えて、バックアップを取ることが大切です。
ここでは、万一のときにあわてないためのバックアップ管理のポイントを解説します。
バックアップデータの世代管理を行う
世代管理とは、あえて過去のバックアップデータも保存しておく方法のことです。
例えば、毎日バックアップを取っている場合、昨日やおとといのデータは古いデータとなっています。これを削除せずに、あえて残しておきます。
「いつの間にか、見積書のデータが消されていた。昨日のバックアップデータの中を探したが、見つからない」。このような事態が起きた際、世代管理をしていれば、数日前のバックアップデータから見つけ出すことが可能です。
ただし、世代管理をすると、バックアップデータの量がどんどん増えてしまいます。そのため、残しておく量はあらかじめ決めておきましょう。
バックアップしたデータは2か所以上で保管する
データをバックアップしたあとは、2ヶ所以上で保存するように心がけてください。
バックアップデータを1カ所にしか置いていないと、「外付けハードディスク(外付けHDD)に保存したバックアップデータから復旧しようと思ったが、壊れているのかデータを取り出せない」という状態になる恐れがあります。
元々のデータと合わせて、2か所以上に同じデータが存在している状態にしておきましょう。こうすることで、データが失われるリスクが低下します。
2種類以上のメディアを組み合わせる
バックアップしたデータは、異なる種類のメディアも利用して保管しておきます。例えば、今まで外付けHDDだけを使っていた場合には、クラウドストレージも併用するなどの方法があります。
クラウドストレージは、インターネット上にあるサーバーを使って、データを保存できるサービスです。インターネットに接続されたどの端末からでも、いつでもアクセスできるようになります。また、同じデータを複数の端末で共有することも可能です。
クラウドストレージについては、別記事「クラウドストレージとは?メリットや選び方、おすすめサービス3選を解説」をご参考ください。
バックアップデータのうち1つは遠い場所で保管する
大きな災害が起きれば、本社だけでなく、近くの支社も被害を受けるかもしれません。バックアップデータのうち、1つは物理的に遠い場所にある支社に保管しましょう。この方法を「遠隔地バックアップ」といいます。
災害が発生した場合にも、遠隔地バックアップによってデータが安全に保管されていれば、業務を迅速に再開できます。これにより、企業の業務継続性が維持され、顧客やパートナーへの影響を最小限に抑えられます。
遠隔地バックアップについては、別記事「バックアップがあれば会社のデータを守れる!災害対策の必要性やサービスを解説」をご覧ください。
バックアップデータの1つは改ざん防止ストレージで保存する
ニュースでも取り上げられるマルウェアの一種「ランサムウェア」は、バックアップとして保管しているデータを標的にすることもあります。警察庁の「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、ランサムウェアの被害件数は令和5年だけで197件に上ります。
令和5年の上半期で103件、下半期で94件という内訳です。前年と比べて14.3%減少傾向にありますが、引き続き高い水準で推移しています。
被害を抑えるために、バックアップデータのうち1つは、改ざんできない「不変ストレージ」に保存しましょう。自社で不変ストレージの購入が難しい場合は、クラウド型の不変ストレージを検討する方法もあります。
ランサムウェアを始めとするマルウェアについては、別記事「マルウェアの感染経路はどこから?種類・被害事例・対策などを徹底解説!」をご覧ください。
定期的なリストアテストを行う
リストアテストとは、バックアップしたデータを使って、本当に復旧できるかを確かめるテストのことです。機器の故障が起きる前に実施する、防災訓練のようなテストと言えます。
警察庁の「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、バックアップを取っていてもデータの復旧ができなかったケースは83%もあります。
あなたの会社も、データ復旧ができないという状況に陥る前に、リストアテストを行いましょう。
リストアテストは毎月1回程度を目安に実施します。時間がない場合には、重要なデータのみ毎月テストを行い、それ以外のデータは半年から1年程度の頻度で行うことをおすすめします。
データバックアップ後も適切な保存先の選定やバックアップ管理が重要
企業情報や顧客の個人情報などの重要なデータは、バックアップの取得だけではセキュリティ面で安全性が高いとは言えません。バックアップデータがあっても、ネットワークに繋がっている限り、常にあらゆるセキュリティリスクに晒されているからです。バックアップの取得だけではセキュリティ対策として不十分だと言えます。
大切な企業情報や個人情報の情報漏えいを防ぐためには、バックアップを取得した後も継続的に、データを保護・管理する必要があります。そのためには、複製した情報の適切な保存先の選定とバックアップ管理が重要です。「バックアップ管理の適切な方法とは?」の記事では、企業情報や個人情報の適切な保存先の選び方や、バックアップ管理の方法を記載しています。ぜひ、参考にしてみてください。
データバックアップ頻度に関する悩みはプロに相談を
バックアップの頻度は、ファイルバックアップなら1日1回以上、システムバックアップなら数ヶ月に1回程度が目安となります。
またデータ復旧が必要になったときのことを考えて、保管方法を工夫することも大切です。自社だけで適切なバックアップが難しいと感じたら、プロに相談しましょう。
株式会社トントンは、バックアップに関するさまざまなお悩みに対応しています。自動バックアップツールの導入や、リストアテストの実施もお気軽にご相談ください。
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